• そのデータ、誰のもの

STORY 03

そのデータ、誰のもの

ある日、私のもとに一通の提案メールが届いた。
差出人は大手IT企業の営業担当者。
「貴社のマーケティング戦略に最適な消費者データをご提供できます」という売り込みだった。

普段からターゲット消費者の分析を担当している私にとって、データ活用は重要な仕事だ。
しかし、添付されたサンプルデータを開いて驚いた。
「匿名化されている」とはいうものの、購入履歴、移動経路、興味関心などが詳細に記録されている。

「こんなデータを他の企業に売っていいのだろうか・・」

さらに、そのデータの販売価格を見て言葉を失った。
想像以上に高額だ。
企業が利益を得るために、消費者のデータがこんな形で売買されている。
データ分析の仕事をしている自分自身が、この現実に違和感を覚えるようになった。

「こんな社会は何かおかしい・・大切な何かを見失ってはいないか」

そう考えずにはいられなかった。

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